amiteeのほげほげ日記

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プライドinブルー

今の職場はスポーツに関わるところで、同じフロアで約100人が働いている。その関係で、わたしが毎日お茶を出したりお茶を出したり雑用を言いつけられたりしているエライ人たちのところに、先月、この映画「プライドinブルー」の秋田での上映を実現させたい人たちが訪問してきた。そのうちの一人が以前からの顔見知りであったため、「あなたにも一枚」と試写会用のハガキをいただいた。6月1日がその試写会の日で、エライ人も誰か一人くらい行くのかと思っていたら誰も行かない(行けない)と言う。だからというわけではないけれど、職場にいるお姉さま・お兄さまたちと一緒に、映画を観てきた。
ドキュメンタリー映画のこの「プライドinブルー」は、2006年にドイツで開かれた知的障害者のサッカー世界大会、「INAS-FID(国際知的障害者スポーツ連盟)サッカー世界選手権」に出場した日本の知的障害者たちを追ったものである。なぜ秋田という辺境の地でこの映画を上映させようと頑張る人たちがいるのかというと、映画でほぼメインとして扱われている、チームのゴールキーパー・加藤隆生選手が、秋田で育ち今も秋田に住む、秋田人だからだ。加藤選手は昨年ドイツへ行く前にも、関係者と一緒に、わたしのいる職場へ挨拶に来ていた。率直な感想としては、見た目は普通の人と変わらないな、というもの。ただ、100人の前で決意を述べたときに、やはり少し違うのだなと感じた。それでも、一般の人が思う知的障害者とは、印象がかなり異なると思う。それは映画に出てくる他の選手も一緒で、見た目には、普通とあまり変わりない。しかし彼らはほぼ一様に、文字についての力が一般レベルではないことが、映画を観て理解できた。
スポーツは頭脳戦だ。だから、そんな彼らがどうやって練習をし、3週間という長い大会の間にどう変わっていくかということも、映画では示されている。試合をして世界のレベルを感じ、なかなか勝つことができず、自ら戦術についてのミーティングを始め、その進め方も自分たちで考えていく選手たちの姿からは、「ゴールの喜びは誰でも共通だ」という、監督の言いたかったことが見える。
視覚障害者や聴覚障害者のサッカーチームがあることは以前から知っていたので、知的障害者のサッカーチームというものに対する驚きは特になかったけれど、この映画を観て、世界のほかの国では、知的障害者も、障害の程度によっては健常者と同じチームでプレーしているのだということを知り、それには驚いた。日本人がみんな知的障害を誤解しているとは言わないけれど、こうやって驚くということ自体が、世界との違いだろう。この世界選手権に出場している日本人選手たちの多くが、普通学級や普通学校で学びたいと希望し、努力したものの、障害によってその希望は叶わず、特別支援教育を受けることになったという。今さらのように書くけれど、問題は、特別支援教育を受けることそのものよりも、そのことによる、一般社会における影響だ。彼らが「普通の人と同じように生活したい」と思うのはなぜかということの一片が、映画から透けて見えた。
映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」以来のドキュメンタリー映画だったけれど、悪くなかった。テアトル新宿で7月からモーニングショー、秋には秋田でも上映できそうだということだった。ほしは、今回に限っては、あえて無しで。
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