カメラ購入から一年
「安いミラーレスでも買ってみたら?」
カメラ王子にそう言われてから一年が経った。ということは、ミラーレス一眼を買ってから一年が経ったということだ。
きっかけになったのは、ダリア園に行ったことだった。
コンデジと、「学研 大人の科学」の二眼レフカメラを持ってダリア園に遊びに行ったら、自分の中に「こんなふうに撮りたい」というイメージ画像が生まれた。
だから、園のなかでもちょっと高くなっているところに移動して、コンデジを持ち上げてみた。けれどすぐに、撮れないと分かった。時間帯もいけなかったけれど、そういう問題ではなく、コンデジでは撮れない画だった。
今なら分かる。望遠レンズを使って景色をぎゅっと圧縮、ミニチュアモードのように彩度高め・コントラスト強めにして、画面のあちこちに見えるダリアの花が目立つような写真にしたかったのだ。
そうしたら数日後、カメラ王子のFacebookに載ったダリア園の写真が、わたしが撮りたかったイメージそのままの写真だった。わたしのこころを読んでいるのかと、仰け反るほど驚いたことを憶えている。
こういう写真が撮りたかった、そう言ったらその返事がこれだった。「安いミラーレスでも買ってみたら?」。
そして翌日、激安になっていた(結果的に今使っている)ミラーレス一眼のチラシを写した写真が送られてきて、そして調べて…調べて、翌々日には購入してしまったのだった。こんどはカメラ王子が驚く番だった。
カメラ王子はそれまでも、わたしに対して「写真のセンス、あると思う。始めてみたらいいと思うけどなあ」と、何度か言ってくれていた。自分でも、ちゃんと勉強しながら、ある意味で真面目に写真を撮ってみたいと思っていた。それでも、ミラーレスとは言えかなりいい値段がするので躊躇していたところだったのが、思いの外こなれた値段になっていることを知り、急に勢いづいたのだった。
あれから一年。たくさん出かけて、たくさん撮った。冬の間は車の運転がまだ少し不安だったので、勉強メインにして本もたくさん読んだ。春になってからはとにかく撮った。音楽から離れて10年以上が経って、こんなふうに何かに夢中になったのは本当に久しぶりだった。
カメラ王子は褒めて育てるタイプなのか、ダメ出しされるよりも褒められる回数の方がはるかに多い。褒められて悪い気持ちはしないので、また気分よく撮りに行ってしまう。そうやって一年が経ったのだった。
最近になって思うのは、基本的に「イメージできていない写真は撮れないのではないか」ということ。つまり何かを見たときに、それを撮りたい、と思っても、写真の完成形がある程度自分の中にイメージできないと、なんだかよく分からない写真ができてしまうということ。
だからイメージの引き出しを増やすために、プロアマ問わずいろんな人の写真を見ることと、自分の写真をもう一度見返すことが必要なのだと思っている。
カメラの性能、持っているカメラでどこまでできるかという問題はもちろんあるけれど、順番として「こんな写真が撮りたいなあ」の次に「じゃあこのカメラでどうすればイメージに近づくのかな?」ではないかと思うのだ。
カメラ王子を含めたカメラの先輩たちからは、プリントして(せめてフォトブックを作って)自分の写真を振り返るようにとアドバイスされているけれど、その本質的な意味は、わたしにはまだ理解できていない。これから分かるのだろうから、心に留めておこうと思う。
写真は今年のダリア園。
一年前にイメージした画と、今年行ってみてイメージした画が合わさった写真。せっかく単焦点レンズも持っているから、また遊びに行って、ボケを生かした写真も撮りたいところ。
カメラを買うきっかけは書いた通りだけど、さらに遡ること3年前、玉ボケの写真をいいなあと言ったわたしに、「こういうのは一眼じゃなきゃ撮れないんだよ」とカメラ王子が呟いたのが、実は、ミラーレスが欲しいなあと思い始めるきっかけだったのだ。なんとも懐かしい話である。