amiteeのほげほげ日記

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「天国と地獄」(テレビ朝日・黒澤明ドラマスペシャル)

たしか今年の9月、わたしが仙台に行っているときに放送された2夜連続のスペシャルのうちの最初のほう。ずっとHDDに入っていたのを、ようやく観たわけ。
なぜこのドラマを録画しようと思ったのかというと、それはおそらく、妻夫木くんが出ていて黒澤作品のリメイクだから。テレビ朝日も、ときどき放送されるこういうスペシャルは異様に気合が入っていて、なかなか面白いことが多い。特にミステリは。このドラマも期待に違わずなかなかの出来栄えで、ストーリーもさることながら、脇を固める俳優も主役級という豪華なものであった。その中でもやはりすごいと思わせたのはメインの佐藤浩市で、冷徹な人間として描かれる冒頭部分と、だいじなことが何なのかに気づき、本来の男気あふれる自分を取り戻した後からの様子がすばらしく演じ分けられていた。一人の人間として違和感なく、それでいてどう変化したかがよくわかるというのはすごいと思う。ほかに妻夫木くんや伊武雅刀、小澤征悦もかなり存在感に溢れていて、とてもよかった。
妻夫木くん演じる犯人にとって、何が天国で何が地獄だったのか。また主人公の佐藤浩市がいた場所は、本当に天国だったのか。地獄を味わうことによって天国を知った主人公の軌跡とともに、事件の謎がゆっくりと解かれていく。しかし犯人の中に秘められた狂気も次第に明らかになってきて、背筋が寒くなっていくところもまた秀逸であった。
お手軽サスペンスだけでなくこういうものをたくさん作ってもらえたら嬉しいのになあと思う。