amiteeのほげほげ日記

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蝉しぐれ

仕事に出かけるママゴンを送っていったおとんが借りてきた3本のDVDのうちの1本。毎週土曜日はこうやってDVDを借りてくるのがおとんの習慣らしく、先週もDVDを借りてきて観ていた。先週、実はわたしが「真夜中の弥次さん喜多さん」を手に取ったので借りてきて観たのだけれど、特にここに書くほどでもなかったね、ほしひとつかな、ということで、これに関しては触れずにおく。今週の3本は「蝉しぐれ」「フライトプラン」「交渉人 真下正義」で、残りの2本はまだ観ていない。「フライトプラン」にはわたしはあまり関心がないので、交渉人に期待。
で、「蝉しぐれ」だけれど、藤沢周平の原作は読んでいないので、先入観なく観ることができた。主人公・文四郎とおふくそれぞれのこころの中がよくわかり、悪くなかったが、映画館で1800円払って観るかと尋ねられれば、答えはNOである。
まず、文四郎が最終的に決闘する相手との因縁が、あまり描かれていない。結果的には、一度敗れたその相手を一撃で倒してしまうのだけれど、その極意の伝授もいまひとつよくわからない形で行なわれていたし(しかも教えたあの人は誰だったんだ?)、その相手が立ち向かうべき悪であったかというとそういうわけでもない。切腹させられた父親がいまわの際に「義に従ったのだ」と言ったことが宙に浮いてしまっていた。結局、文四郎の剣の腕を強調したかっただけなのか、おふくのこともあって巨悪に立ち向かう文四郎とそのエピソードの一つを見せたかったのか、よくわからなくなっている。
それから、おそらく原作中ではきっちり描かれているであろう藩の中の人間関係がよくわからず、文四郎に関わる人々がそれぞれどんな人物なのかが不明であった。とりあえず誰がいい人で誰が悪い人かがわかるという程度で、文四郎が旧禄に戻されてからの上役も、特にエピソードのないまま、あっという間に暗殺されてしまった。あれでは殺される理由がわからない。たぶん2時間にいろいろ詰めようとしていたのだと思う。
ただ、最初にも書いたように、文四郎とおふくのやりとりはよかった。市川染五郎木村佳乃の組み合わせもよかったし、子役のおふくはとてもかわいらしかった。文四郎への恋心の表れや、素直にそれに応えられないでいる文四郎の姿はいいものだった。そして、それが成就しなかったことを振り返る二人の抑えた演技も、しみじみとしていてよかったと思う。
ほしはみっつ。
ちなみに、映画になる前にNHKでドラマ化されていて、おとんによるとこちらのほうがよかったらしい。NHKの時代劇は確かにおもしろいし、俳優陣も渋いながらしっかり選ばれていることが多いように思うので、このNHKバージョンを観てみたかった。
とりあえずDVD。

NHKバージョンのDVD。
蝉しぐれ [DVD]

蝉しぐれ [DVD]